落葉文集

落ちて廃れた言葉の連なり

生活困窮日記12〜13日目

■11日目までのあらすじ

 アルバイトがスタートした。 

zero-sugar.hatenablog.jp

 

■12日目

 この日も朝からバイトへ向かう。まだ2日目ということもあり、ひたすらレジ対応業務に専念させられるが、空いた時間にドリンクの作り方を教わるなどする。

 バイト先には変に尖った思想の持ち主は居なそうで、穏やかな人が多そうな印象だが、変ないじられの対象となっている者が1名おり、人を小馬鹿にするノリはどこにでも発生してしまうのだなと少し気を落とす。本人を中心にコミュニティ内で容認されているノリであるならばとやかく言っても仕方ないのだが、それにしても見ていて気持ちのよい事象ではないため、この辺りは少し様子を見たい。

 帰り際にカフェラテを淹れてもらう。コーヒー屋さんへ行ったら基本的にコーヒーを頼む私はラテを飲む機会があまりなく、直近で飲んだカフェラテといえばマクドナルドのカフェラテMサイズ200円である有り様で、そもそもカフェラテの味をいまいち理解していないのだが、このときもらったカフェラテはほとんどホットミルクだった。おそらく牛乳の量が多かったのだろう。エスプレッソの香りは『ウォーリーを探せ』の如くミルクの中に紛れ込んでしまっていた。

 夜、人前に立ち続ける行為が思っている以上に疲労を生み出してしまっているのか、暗い気持ちになる。
 気が沈んでしまった原因もよくわからないまま、そもそも自身の人生のプレイング能力の低さにどうしようもなく打ち拉がれてしまい、とりあえず早めに寝ることを決心する。小さい頃から今に至るまで私はゲームが苦手であり、攻略本なしではまともにゲームをエンディングまで進めることすらできないことがほとんどだ。宗教というのも人生のルートを指示する攻略本として機能しているのだと思えば信仰する人々の気持ちもよくわかる。
 何を信仰してこの先を生きていけばいいのか、それがわからないままだから突如不安に襲われてしまう。

 

■13日目

 東京が世界に誇る平日早朝の満員電車へ久しぶりに乗り込む。クールジャパン、と呼ぶには車内はあまりに蒸し暑く、世の中には早急に廃れたほうがいい文化だって多く存在することを確認する。

 平日ということもあり、この日のバイトは忙しくなく、ハンドドリップでのコーヒーの淹れ方を教わる。手順を入念に指南してはもらったが、身体感覚が著しく弱い私は得意の不器用を遺憾無く発揮してコーヒーの香りがするお湯を量産してしまい、亡骸となったコーヒー豆を見て罪悪感に襲われる。

 バイトが終わって帰宅途中にATMに立ち寄り、通帳記入を行う。携帯料金と電気代の支払額を確認したかったのだが、それらの支払いに加え、覚えのない約19万円が振り込まれていることがわかる。
 元より7月中旬まで収入の見込みがないことから始まった生活困窮状態であったために、このタイミングで19万円手に入るならば生活にも多少の余裕が生まれ、言うほど生活は困窮せずに済むことになり、もっと言えば市の家賃補助制度を利用する必要もなければ申請の予定だった公的借入金制度を利用せずとも生き延びられることになる。
 振込元の名前がなぜか自分の氏名であり、どこから発生した19万円なのかわからずしばらく困惑していたが、直近の自身の行動を省みるに財形貯蓄の解約により戻ってきた貯蓄額であることが判明し、神の恵みなどではなく過去に己が稼いだお金であることに安心を覚える。
 生活困窮日記がまさかの13日目で幕を閉じることになってしまうわけだが、それにしても月々の収支がマイナスの見込みで生活が苦しいことに変わりはないため、大げさなタイトルではあるが今後も飽きるまではブログにて記録を続けていきたいと思う。
 ひとまず、友人から遊びの誘いなどが入っても全て断らなくてもよい状態に至れたことは嬉しく思う。あとお菓子やカップラーメンだって買えるし、とにかくうれしい。

 

■14〜15日目

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