落葉文集

落ちて廃れた言葉の連なり

生活困窮日記14〜15日目

■13日目までのあらすじ

 財形貯蓄解約により19万円の収入を手にし、収支予測から赤字が消えたことによって生活が救済されたが、「生活困窮日記」なるタイトルで記事を書き続けるのはあまりに大げさな状態となり、近いうちに記事タイトルの変更に踏み切るべきかと悩み出す。

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■14日目

 この日は早朝6時からの出勤だったが、早起きを難なくこなす。眠っている間の無意識を過度に恐れる余り、狙った時間に即覚醒する自信を持てず、寝坊に対する恐怖心を必要以上に抱いてしまう私だが、早起きの適性は意外と高いような気もしている。
 前職に就いていた頃、早起きして1〜2時間ほど読書したり勉強したりアニメを観たりしてから出勤していた時期もある。出勤時刻に合わせて起床時間を決めるのが一般的だと思うが、労働活動を中心に行動を規定している感覚が好きでなく、労働と生活の主従関係を自己都合に沿って適切に設定したいと考え、労働するために朝早くに起きるのではなく自分の一日を送るために朝早くに起きる、という意識による生活を試みたことがきっかけだ。
 結果として自分がしたいことをする時間を確保できたり、早起きのおかげで満員電車も回避できたりとメリットは多かったのだが、労働と生活の主従関係がどうこうと理解不能な思考を巡らせ、「一般」から離れた生活を意識的に実践したがる者は求職に際して苦労する。

 アルバイト中は前日に引き続きハンドドリップでコーヒーを淹れる練習をさせてもらうが、一日二日で身体に染み付いた不器用が改善されるはずもなく、またもコーヒーの香りがするお湯を量産してしまう。

 帰りに近所のスーパーへ行き、辛ラーメンを購入する。想定外の19万円を手にし、浮かれて買った辛ラーメンだったが、袋ラーメンを購入することすら許されなかった19万円を手にする以前の状況の絶望感を思い出し、一時的とはいえ窮地から脱出できたことに再度安堵する。安堵の中で食べる辛ラーメンはおいしかった。

 この日の夜に1週間前に購入した氷砂糖1kgを食べ切る。1週間で氷砂糖を1kgも食べることはなんとなく体に良くない気がするため、いかに安くお菓子欲を満たすかは今後の課題とする。

 

■15日目

 朝食として市役所から支給してもらった廃棄寸前の非常用即席わかめごはんを食べる。お湯を注いで15分でできるわかめごはんは味もそれなりで、例えば災害時などにこのクオリティの味が食べられるとすれば喜びも大きいかもしれない、と企業努力に感心する。

 午後、自宅から30〜40分ほど歩いた先にある業務用スーパーへ向かう。この業務用スーパーを訪れたのは初めてだったが、納豆が39円と自宅最寄りのスーパーより20円ほど安く売られている光景に興奮し、まとめ買いを決行。その他、豆腐やレトルトカレー、そうめんなど、別に欲してはなかったけどあると便利そうな食品をいくつかカゴに放り込み、19万円を手にした浮かれから散々迷った挙句に2本の缶チューハイと徳用バタークッキーも手に取る。こうして無駄な出費は生まれていくのだなと、レシートを見て反省する。

 夜、業務用スーパーで買った缶チューハイを飲む。はちみつ男梅サワーなる飲料はさながら梅ジュースのようだったが、梅ジュースが好きな私は梅ジュースのようなお酒を梅ジュースの如く喉へ流し込む。

 体内に取り込んだアルコールによって多少のダルさが発症した身体を強引に動かして横に倒す。一人でお酒を飲んでもあまり幸福感を得られないな、と思う。瞼で視界を遮り、まどろみへ意識を預ける。一日が終了する。

 

■16〜17日目

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