落葉文集

落ちて廃れた言葉の連なり

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ペンギン

ペンギンという動物は、なぜあんなにも愛らしい姿をしているのだろうか。 つぶらな瞳に、他を寄せ付けない黒と眩しいくらいの白が織り成す鮮やかなコントラスト、パタパタ開く小さな翼、ずんぐりむっくりとした図体、この世の愛らしさを全てつぎ込んだかのよ…

睡眠

眠れない夜というのはいつ以来だろうか。 思い返せば、少年時代、戦隊ヒーローもののブルーに憧れ、常に冷静でクールさを発揮することがカッコよさであると信じて疑わず、学校行事に対しても「ふっ、子どもたちは無邪気だな…」と冷めた様子でカッコつけてい…

映画館

文化的に満たされた生活は、精神的にも満たされた生活なのではないか。つまり、精神的に疲弊した僕は、きっと文化的欲求や知的好奇心を満たしていくことで豊かな心身を取り戻せるのではないか。そう確信した我々は、ジャングルの奥地へは向かわず、行き先を…

メイク

【仕事くれ】絶賛休職中の私ですが、なにをして過ごせばいいかわからないし今後人と会わなすぎて元々ない社会性がさらに失われていく予感すらするので、庭の草むしりや親から頼まれたお遣い等々、都内の方で人手が必要なことやひとりでやるには面倒なことが…

おはようからおやすみまで

こんなことを冒頭に堂々と書いてしまうと人間性が疑われてしまうが、人間性という曖昧模糊としたパラメータの高低をいちいち気にしても仕方ないので堂々と書き切ってしまおう。 僕はあいさつが得意でない。 会話という行為が持つ機能は「情報や概念の伝達」…

Prologue

全身に圧力を感じる。 深海に迷い込んだかのようだ。耳は圧迫され、頭には一本の直線を引くように痛みが突き抜ける。息が苦しい。肺は海水を取り込み、喉には交通規制がかかる。無意識にそこを行き交っていたはずの空気が滞る。 明日が遠い。手を伸ばせば届…